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外国人起業のスケジュール

外国人が日本で会社を起こして起業する場合、次のようなことを準備しなければならず、だいたい以下のようなスケジュールになります。

事業計画をつくる

まずは、どんなビジネスにするのか概要を決めます。そのときに目安となるのが「5W2H」です。

  • なぜ(Why)なんのためにビジネスをするのか、理念は目標は何か。
  • いつ(When)いつからビジネスを始めるのか、いつまでに何をすべきか。
  • どこで(Where)どこを商圏とするのか、どこに事務所・店舗をおくのか。
  • だれが(Who)だれが会社役員や従業員となるのか、会社か個人か。
  • なにを(What)どんな商品を売るのか、どんな特徴があるのか。
  • どうやって(How)どんな販売経路で売るのか。
  • いくらで(How much)商品をいくらで売るのか。

このような基本的な質問をしながら、ビジネスの概要を決めていきます。できれば第三者からの質問や助言を受けながら作成することが望ましいです。

資金を準備する

ビジネスをするには元手となるお金が必要です。自分でためた貯金を使うのか、親や家族からもらうのか、金融機関から借りるのか、いずれにしてもお金がなければスタートできません。まずはお金を確保してビジネスプランを実際に実現することができるのかが第一のハードルです。

将来の経営管理ビザの取得を考える場合には、一定の経営規模が求められます。その基準は2名の常勤雇用もしくは500万円以上の投資となっています。あまり小さな起業では経営管理ビザはとることができないことには注意が必要です。

また、経営管理ビザをとるためには資金の出所が聞かれることがあります。海外送金、預金通帳、給与明細など資料となる文書についてはきちんと保管しておくことをお勧めします。資金の準備の際に海外送金をする際にも注意が必要です。通常、送金には数日がかかりますし、場合によっては送金できない場合もあります。事前に段取りを調べておきましょう。

事務所を確保する

ビジネスの場所を決めることも欠かせません。会社であれば登記する会社所在地が必要ですし、個人事業であってもビジネスの本拠は必要です。通常は雑居ビルの一室を借りて事務所にしたり店舗にすることが多いでしょう。また一戸建ての持ち家の一部を事務所・店舗にすることもよくあります。

将来の経営管理ビザの取得を考える場合には、事務所の確保は重要な要件の1つです。事業をおこなうに十分な広さと権限(特に居住用マンションやシェアオフィスは許可されないこともあるため注意)が前提となります。また、賃貸借契約書や不動産登記簿謄本が提出資料となるためきちんと保存しておきましょう。

特に外国人が事務所を賃貸する場合には、不動産会社や家主さんから拒否されたり、いろいろな条件をつけられることもあります。敷金や礼金・保証金、連帯保証人など日本の商慣習もあり、賃貸契約締結時の重要事項説明にも外国語対応ができておらず誤解を生じやすい不動産会社もあります。

会社をつくる

ビジネスを会社(法人)でしたいという外国人は多いはずです。一般的には株式会社と合同会社の2種類で始める場合が多いようです。この場合、特に日本に住所をもたない外国人は、印鑑証明や銀行通帳の写しといった必要書類のため、法人設立の手続に時間と手間がかかることがあります。

また、日本の会社法の理解が十分でない場合に、会社設立後の手続(議事録や定款変更など)を忘れている場合もよく見られます。場合によっては、罰金を支払うこともありますので注意が必要です。

税務・労務手続をする

ビジネスを始めると、まずは税務署に開業届(法人の場合は法人開設届)をすることが必要です。これ以降は売上・利益を申告し、その金額に応じて税金を収めなければなりません。

また、法人となったり人を雇用する場合には労働保険(雇用保険、労災保険)、社会保険(健康保険、厚生年金)の手続を行い、それ以降はきちんと納付することが義務付けられます。税金については国税(所得税、消費税など)、都道府県民税(事業税など)、市町村税(市民税など)について手続と納付を忘れずにおこなうことがビザの許可・更新にも大きく影響します。

営業許可をとる

会社の概要(目的、名称、所在地)を決定する際に、経営管理ビザの要件を考えずに拙速に設立してしまうこともあります。外国人起業家に多い中古車販売(古物商許可)や旅行業(旅行業許届出)、旅館業(旅館業許可)には、目的、資本金、所在地などの項目が条件にあっていることが必要です。条件に合わなければ、あとで変更が必要となる場合があります。もちろんその他の業種でも許可・届出が必要な場合があるため注意してください。

また、条件に照らしてそもそも営業許可を取ることができない場合もありますので、できれば事業計画を作っているときから許可・届出についてはスケジュールや必要経費とともに考えておくべきです。

ビザをとる

経営管理ビザをとるためには、ビジネスプラン・事務所の確保・一定の事業規模の3つが最も重要な条件です。これらが確保できれば、ビザ(在留資格)の手続を進めましょう。通常は1,2ヶ月以上の期間が必要となります。スケジュールにあわせて事前の準備を整え、資料をしっかりと保管しておくことがスムーズにビザをとるためのコツです。

取引(契約)をはじめる

ビザも取得できれば、いよいよビジネスのスタートです。取引先をさがし、ビジネスの取引を始めましょう。通常は経営管理ビザをとってから1年後に更新許可の審査がなされます。それまでに売上の実績をあげることが大切です。取引においては、日本の商慣習や法規制についてしっかりと理解した上で行いましょう。

また、小さな取引であっても取引契約(売買契約、委任契約、賃貸契約ほか)は契約書にしておき、請求書、納品書、領収書などの文書もできるだけ保管(電子化も可だができれば文書のままをおすすめする)しておきましょう。

取引によって生じた売上やかかった経費はしっかりと帳簿にまとめ、決算書をつくり税務署への申告を忘れずに。税務申告と納税は経営管理ビザにおいても最も大切な審査ポイントとなります。

経営管理ビザの要件

経営管理のビザ(在留資格)の要件は、以下となっています。

  1. 事務所の確保
  2. 一定の事業規模
  3. (管理の場合)3年の経営管理経営+日本人と同等以上の報酬

また、経営管理の在留資格は、経営管理するビジネスの内容について具体的に資料や説明を求められることになるため、事業計画(ビジネスプラン。事業の内容、取り扱う商品や価格、販売ルートや販促活動、主な取引先や仕入先、売上・費用・利益の概算など)の概要を文書で説明する必要があります。

経営管理ビザの必要資料

上記の要件を満たすことを説明する資料として、下記の書類などを添付します。(個人の事情によって提出書類・立証書類は異なります)

  • 役員報酬を示す定款・議事録、雇用契約書など
  • 経営管理経験を示す在職証明、法人登記簿謄本など
  • 事業内容を示す法人登記簿謄本、会社パンフレットなど
  • 事業規模を示す賃金台帳など
  • 事務所の存在を示す不動産登記簿謄本、賃貸借契約書など
  • 事業計画を示す事業計画書・収支予算書など
  • 経営状態を示す直近の決算文書など
  • 法定調書合計票または給与支払事務所開設届ほか書類

これから起業する場合には事業計画書・収支予算書が特に重要になります。また、資本金や雇用従業員についても十分な説明が必要となるケースが多いです。すでに事業を開始している場合には直近決算書で財務状況が審査されます。債務超過になっている場合には説明資料を追加する必要があります。

日本で商店や飲食店を起業するための在留資格

□ 中国料理店やインド料理レストランを自ら起業したい
□ 中古車やバイクの輸出など貿易会社を新しく始めたい
□ 経営コンサルティングや投資顧問会社を起こしたい
□ 外国語学校や通訳・翻訳の会社をつくって独立したい

このように外国人が自らビジネスを起こして(起業)、会社の経営者として収入を得るには「経営管理」(いわゆる社長ビザ)の在留資格が必要になります。

日本で起業するためのビザ(在留資格)

日本で経営を行う人は「経営管理」のビザ(在留資格)を取得しなければなりません。これは、自ら資金を集めて事業を計画し経営を行う点で、会社に勤務して供与を受け取るサラリーマンとは働き方が異なるため、一般のいわゆる就労ビザとは異なるビザ(在留資格)が必要となります。

「経営管理」のビザは、他の就労ビザと違い雇用契約書はいりません。その代わり、自ら事業をはじめるために必要となる事業計画書資金準備会社設立(資本投資)などが必要になります。ビジネスをはじめから立ち上げる場合はビザの申請の準備に長い時間がかかることもありえますし、経営を始めて数年は売上や利益が伸び悩むケースもあるためきちんとした準備が必要です。

「経営・管理」のビザ(在留資格)の条件

1.事務所・店舗の確保

経営の基礎となる事務所や店舗が確保されていることが必要です。賃貸の場合は不動産賃貸借契約書、所有の場合は不動産売買契約書や不動産登記簿謄本が資料となります。ただし、起業準備中は外国人本人はまだビザ(在留資格)をもたず住所がないため、不動産の購入や賃貸が進めないケースがよくあります。また、仮に購入・賃貸の話がうまく進んでも、敷金・礼金の制度、登記や契約書の不備、税金や法律の知識不足などで計画が狂うケースもあります。高価な買い物だけにしっかりと日本の不動産にかかわる知識を得た上で話しを進める必要があります。

2.経営規模(投資金額500万円以上)

ビジネスを始めるにあたって事業資金の確保は一番のポイントになることが多いです。会社を作る際の資本金として投資することが多いですが、その原資となる資金がどのように集められたか、海外送金や預金の仕方でトラブルになるケースもありえます。また、法人設立の際には株式会社、合同会社のほか、NPOなどの非営利法人、医療法人・社会福祉法人などの特殊な法人形態もあること、許認可の取得や会社法の知識、法人化による各種税金や社会保険などの知識も経営をすすめる上で必要不可欠となります。

3.事業計画書(事業の安定性・継続性)

新しく立ち上げるビジネスの場合、売上や利益の実績がないことから、事業計画(創業計画)が重要となります。どのような商品をどのくらいの価格でどのような取引先にどうやって販売するのか等の計画をできるだけ綿密に実現できる内容で計画を作る必要があります。また、そのための収支計画も一緒に作成することが必要です。

日本で経営するための関連する手順・手続

日本で経営を始めるためには多くの準備が必要です。法律によって決められた手続きを行わなければならない場合もあり、適法にスムーズにビジネスを始めるにはこうした手続きをしっかり理解して迅速かつ正確に行っていくことが大切です。

市情調査・事業計画書の策定

ビジネス(事業)を始める前には、どのようなビジネスをするのかを決めなけれなりません。どのようなサービスや商品を扱い(商品戦略)、どこにいる(地域戦略)、誰に対して(顧客戦略)、いくらの対価で(価格戦略)、どのような広告を使って告知し(広告戦略)、どうやって売るのか(販売戦略)についてきちんと決めておくことが大切です。これを考えて文章や図に表しておくのが「事業計画書(ビジネスプラン)」です。まずはしっかりと調査をおこない、事業計画書にしたがって実際に事業として利益をだすことができるのか、しっかりと検討を重ねておくべきでしょう。

資金調達・投資

また、事業を始めるには資金が必要です。自分でお金を集めるのか、他人や金融機関などから借り入れるのか、借り入れた際の返済計画や売上・利益予測を通じて資金をうまく回していくための計画(収支予算書)も事業計画書の大切な要素です。具体的な数字を使って具体的に予測しておくことが大切です。

また、金融機関で資金を借り入れる際の参考資料となることはもちろん、経営管理のビザ(在留資格)を新たに取得する際の提出書類としても、収支予算書は重要な資料となります。

事務所・店舗の確保

ビジネスの拠点となる場所を確保します。賃貸もしくは購入することになりますが、家主や不動産仲介会社との交渉や支払方法については日本の商慣習への理解も十分したうえで慎重に進める必要があります。

法人設立・営業許認可

ビジネスを始めるにあたっては、法人設立(株式会社KK、合同会社GK、あるいは一般社団法人やNPO法人など)が、また業種によってはこれに加えて営業許可や届出(建設業、運送業、古物販売業、飲食業など)が必要となる場合もあります。

契約書作成・税務・労務手続

また、ビジネスを進めていく中で契約書作成(取引契約書、雇用契約書、秘密保持契約書ほか)、労働者の雇用・社会保険、給与計算などの労務手続、税務署への開業届や申告、納税手続きなどの税務手続きも必要となります。取引上のトラブルが発生すると弁護士のサポートが必要となる場合もあります。

専門家・士業の活用

こうした色々な手続きや書類の作成については、それぞれの専門家がいます。(行政書士、司法書士、社会保険労務士、税理士・会計士、弁護士など。)経営管理のビザ(在留資格)は煩雑な手続きや資料をともない、高額な投資資金などもかかってくるため知識と経験を必要とする難易度の高い手続きです。できるだけ専門家のアドバイスを早めに受けて進めることをおすすめします。また、ビザ以外の手続きについても、当事務所で専門家同士のネットワークによる専門家をご紹介することもできますので、お気軽にご相談ください。

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